ICD-10,DSM-Vとは?

ICDとは、個々の死因や疾病について疾患単位としてまとめていき、それをコード化し国際的な共通認識として提示した分類表です。

ICDは、ひとつの病気が国や地域が違うことで別な病気と認識されたりあいまいであっては、国際間で連携をとって治療や研究をする場合困ってしまいますから、

その不便を避けるため、疾病単位の認識をグローバルにそろえましょうという目的があります。

1860年ころから提唱され、現在は、世界保健機関(WHO)が作業を引き継ぎ、その第10判がICD-10です。

正式にはInternational Statistical Classification of Diseases and Related Health Problemsといい、英略でInternational Classification of Diseases、この頭文字をとってICDと言います。

ほとんどたいていの病気がアルファベットと数字によって表されます。

例えばCOVID-19感染症いわゆるコロナはU071というコードが割り当てられています。

また、リストの一番初めのA00はコレラ。

Aで始まるコードは感染症です。しかし、コロナは流行当初は必ずしも病原がはっきりしないということで、「原因不明の新たな疾患」に入れられたという経緯があります。

ただ、これだけCOVID-19に対する研究が進みましたから、いずれAコードに変更になるかもしれませんね。

このように、現代医学というものは「疾患には物質に還元できるものに原因がある」という考え方のもとに構築されています。

A16結核は、結核菌が感染することによって、

C16胃がんは、胃にがん細胞が生じることによって、

I21急性心筋梗塞は、冠血管が詰まるって心筋が壊死することによって、

それぞれ病気が引き起こされると考えるわけです。

(そうしないと、医療とおまじないの境目があいまいになってしまいます)

ところが、

精神の不調というものはなかなかひとつの物質的原因を同定することが難しいものです。

一般的には、精神科疾患は医師が患者さんから症状を拾い上げて、その症状を基準に当てはめて診断をつける、という手法がとられます。

(「操作的診断」と言います)

その基準がICD-10に記載されているため、他科に比べて精神科はICD-10を参照する機会が多いのです。

精神科疾患の多くはFコードが割り当てられているのですが、そのFコードの部分だけが冊子として販売されているほどです。

また、コードが近いものほど疾患としても近い関係にあると考えられるので、診療において便利であり、精神科では何かとICD-10のコードが示されるのです。

ICDと並んでよく使われるものに、DSMがあります。

アメリカ精神医学会が作成している、精神疾患の診断基準・診断分類のことで、正式には「精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」といい、頭文字をとってDSMと呼ばれています。

DSM-5は、その第5版で2013年に公開されました。

やはり、精神科疾患をコード化し分類しているマニュアルです。

DSMはICDと違った概念をとっている部分もあります。

しばしばICDと並んでDSMコードも併記されています。

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